正直に言う、生命保険の必要保障額を自分で計算したら想定と1,500万円もズレていた
「万が一のとき、家族にいくら残せばいいんだろう?」——子どもが生まれたタイミングで生命保険の見直しを考え始めたものの、ネットで調べるほど情報が多すぎて余計に混乱した経験はありませんか。私もまさにそうでした。保険の営業担当に言われるまま加入していた保障額が本当に適切なのか不安になり、自分で必要保障額を計算してみることにしました。結果、当時入っていた保険と実際に必要な金額には約1,500万円もの開きがあったのです。この記事では、同じように「自分で計算してみたいけど、どこから手をつければいいかわからない」と感じている方に向けて、私が実際にたどった計算のステップ、つまずいたポイント、そして気づいた落とし穴を正直に共有します。
目次
- 必要保障額の計算に踏み切った理由
- 実際に計算してわかった「必要保障額」のリアルな数字
- 計算で失敗したこと・予想外だったこと
- 必要保障額の自力計算が向いている人・向いていない人
- 迷っているなら、まず一度手を動かしてみてほしい
必要保障額の計算に踏み切った理由
保険料を「なんとなく」払い続けることへの不安は、放置するほど大きくなります。
営業担当の提案を鵜呑みにしていた過去
社会人2年目のとき、職場に来た保険の営業担当に勧められるまま死亡保障3,000万円の生命保険に加入しました。当時は独身で、正直なところ「よくわからないけど、みんな入るものだろう」という程度の認識。月々の保険料は約12,000円。大きな出費ではなかったので、深く考えずに払い続けていました。
子どもの誕生で「このままでいいのか」と焦った
転機は第一子の誕生です。急に「自分に何かあったとき、子どもの教育費は?住宅ローンは?妻の生活費は?」というリアルな問いが頭に浮かびました。ネットで「生命保険 必要保障額 計算」と検索したのが始まりです。
計算式は見つかるが「自分の場合」に落とし込めない
検索して出てくる情報は、たいてい以下のような公式です。
- 必要保障額 = 遺族の支出総額 − 遺族の収入総額
シンプルに見えますが、「支出総額」に何を含めるか、「収入総額」で遺族年金はいくらもらえるのかなど、自分のケースに当てはめる段階で一気に複雑になります。だからこそ、一度自分の手で数字を出す価値があると感じました。
実際に計算してわかった「必要保障額」のリアルな数字
具体的な数字を並べて初めて、保障の過不足が「見える化」されます。
ステップ1:遺族の支出総額を洗い出す
私の場合(30代後半・妻・子ども1人・持ち家)で試算した主な支出項目はこちらです。
- 遺族の生活費: 現在の生活費の約70%(目安)× 末子独立までの年数+妻の老後分
- 子どもの教育費: 幼稚園から大学まで、すべて公立なら約800万円、すべて私立なら約2,300万円が目安とされている
- 住居費: 団体信用生命保険(団信)付きの住宅ローンなら、死亡時にローン残高はゼロになるため除外可能
- 葬儀・整理資金: 200万〜300万円程度が一般的
- 予備費: 急な出費に備えて200万〜500万円程度
合計すると、私のケースでは約5,800万円になりました。
ステップ2:遺族の収入総額を計算する
意外と大きいのが公的保障です。
- 遺族基礎年金: 子どもがいる配偶者に支給。2026年度の目安で年額約100万〜130万円程度(子の数による)
- 遺族厚生年金: 会社員・公務員の場合に上乗せされる。報酬比例部分の3/4が目安
- 妻自身の収入: パート・正社員など就労状況による
- 貯蓄・資産: 現在の預貯金、投資資産、退職金見込みなど
これらを合計すると約4,300万円。
導き出された必要保障額
5,800万円 − 4,300万円 = 約1,500万円
当時加入していた保険の死亡保障は3,000万円。つまり約1,500万円分の「過剰保障」だったのです。月々の保険料に換算すると、年間で数万円単位の無駄が生じていた計算になります。
計算で失敗したこと・予想外だったこと
「自分で計算すれば完璧」と思い込むのは危険です。ここでは正直に、私のミスを共有します。
遺族年金の受給要件を見落としていた
最初の計算では、遺族厚生年金を「妻がずっともらえるもの」と思い込んでいました。しかし実際には、子どもが18歳(年度末)に達すると遺族基礎年金は停止し、妻の年齢や再婚状況によって遺族厚生年金にも変動があります。この点を正しく反映させないと、収入総額を過大に見積もってしまいます。
教育費のインフレを考慮しなかった
教育費は年々上昇傾向にあります。「公立なら約800万円」という数字は現時点の目安であり、子どもが大学に入る15年後にはさらに上がっている可能性があります。物価上昇率を加味しないまま計算すると、実際に必要な額との間に数百万円のギャップが生じかねません。
「団信があるから住居費ゼロ」の落とし穴
持ち家で団信に入っていれば住宅ローンは完済されます。しかし、固定資産税・修繕費・マンションなら管理費と修繕積立金は残ります。年間数十万円の住居関連費用を見落としていたことに、後から気づきました。
必要保障額の自力計算が向いている人・向いていない人
万人に同じ方法が合うわけではありません。自分がどちらに当てはまるか確認してみてください。
自力計算が向いている人
- 家計の収支をある程度把握している人: 月々の支出額や貯蓄額をざっくりでも言える状態なら、計算のベースが作れます
- 保険の営業トークに流されたくない人: 自分で数字を持っていると、過剰な保障を勧められても冷静に判断できます
- Excelやスプレッドシートに抵抗がない人: 項目ごとに数字を入れて合計するだけですが、手書きよりツールを使う方が修正しやすいです
自力計算が向いていない人(無理する必要はない)
- 公的保障制度(遺族年金・高額療養費など)の仕組みに全く馴染みがない人: 前提知識なしで計算すると、大きなズレが生じるリスクがあります
- ライフプランが大きく変わる可能性がある人(転職・独立・離婚など): 変数が多すぎて、一度の計算では意味をなさない場合があります
- そもそも時間を割く余裕がない人: 忙しい会社員や小さな子どもがいる家庭では、正直なところ計算に数時間〜数日かかることも。その場合はFP(ファイナンシャルプランナー)への無料相談を活用する方が効率的です
一歩踏み込んだ視点:「計算は入口、見直しは定期的に」
多くのサイトでは「必要保障額を計算しましょう」で終わりますが、本当に大事なのは計算した後です。子どもの成長、収入の変化、住宅ローンの残高減少などにより、必要保障額は毎年変わります。私は年に一度、年末に家計の棚卸しと合わせて必要保障額を再計算するようにしています。一度きりの計算で安心してしまうのが、最も見落としがちな落とし穴だと感じています。
迷っているなら、まず一度手を動かしてみてほしい
必要保障額の計算は、正直に言えば面倒です。遺族年金の仕組みを調べ、教育費の目安を集め、自分の家計に当てはめる——慣れない作業に数時間はかかりました。でも、その数時間で「保障が1,500万円も過剰だった」と気づけたのは、家計にとって大きな転機でした。完璧な計算である必要はありません。ざっくりでも自分の数字を持っていると、保険の見直しやFPへの相談の場で「自分ごと」として会話ができるようになります。まずは今の生活費と貯蓄額を書き出すところから始めてみてください。それだけでも、漠然とした不安はかなり軽くなるはずです。